斎藤良輔著作の本・3冊/郷土玩具の旅/日本人形玩具辞典・日本の人形玩具の真価の全貌を見渡しえるようなものをまとめてみた/日本のおもちゃ

商品説明
斎藤良輔著作の本・3冊/郷土玩具の旅/日本人形玩具辞典・日本の人形玩具の真価の全貌を見渡しえるようなものをまとめてみた/日本のおもちゃ

斎藤良輔著作の本、3冊でまとめてみました。 部数は少なそうです。資料用にもいかがでしょうか。

郷土玩具の旅 昭和56年 220P
日本人形玩具辞典 昭和43年 549P
日本のおもちゃ 19895年 284P

あとがき

明治二四年(一八九一)一一月、京都の書肆芸艸堂から、清水晴風の玩具画集『うなゐの友』初篇が刊行された。ちょうど九〇年前のことである。

晴風は、後に『玩具博士』と称された玩具愛好研究家で、この初篇が好評の声に迎えられて、以下六篇(大正二年刊)までを、前後二三年間にわたってつぎつぎと世におくった。明治期に玩具愛好趣味を、最初に紹介した大冊である(晴風の没後は、西沢笛畝がこれを引き継ぎ七篇から一○篇までを完結した)。

芸艸堂版のこの『うなゐの友』は、晴風が当時日本各地に散在する伝承玩具類に、はじめて「天然の古雅」を見いだし、「美術とはかかるものをいかなるべし」(『うなゐの友』初篇「あとがき」)という視点からとり組んだところに、草分け的な価値がある。この著作は、それ以後の郷土玩具マニアにとっても、貴重なバイブル的存在となってきた。

明治初期に晴風翁の心をひきつけた郷土玩具の魅力は、変転する近代社会の底流に、いまも生きつづけている。

それらは、忘れられがちな心のうるおいと、人なつこいあたたかさを想いださせる。それは、むかしながらの ”ふるさと"を感じさせる粗朴な美と幼いかわいらしさとがそこにあるからであろう。

郷土玩具は、自給自足的な”ふるさと”意識を母胎として生まれた。紙や土や、そして木片などを材料に、手づくりではぐくまれてきたこの種の遊び道具には、稚拙ななかに繊細で個性的な造型感覚がよみとれる。しかもそのほとんどのものが本質的にそれぞれ郷土性の美を備えているということである。

郷土玩具への愛着は、それらが生まれた『ふるさと』を訪れることによって、いっそう深まる。 エトランゼの郷愁がそこにある。 晴風翁も、しばしば玩具収集行脚をおこなっている『おもちゃの旅』には、なつかしいめぐり合いがあり、いつも新しい発見がある。そこからまた実証的な玩具研究の道も開かれてゆく。

いま、『郷土玩具の旅』の遍歴を書き終えて、心にうかぶことは、晴風翁の『うなゐの友』のことである。

ながい歳月をへだてて、同じ書肆芸艸堂から、同じ玩具行脚の一冊を世にだすことができたという感慨である。 郷土玩具を愛する同好の友、石井荘男氏の美しい口絵と、松本栄一氏の冴えたカメラとでこの記念すべき一冊を飾っていただくことができた。うれしいことである。

一九一年四月

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